ラブ&マーシー 終わらないメロディー

ラブ&マーシー 終わらないメロディー

Love & Mercy

 

ザ・ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンの伝記映画。全盛期の60年代と薬漬けの80年代を行ったり来たりして話が進んでいく。何年か前に、彼らに関する本を読みあさった時期があったから、内容はだいたい知っていることだった。

 

ザ・ビーチ・ボーイズはブライアン、デニス、カールのウィルソン3兄弟、いとこのマイク・ラブ、友人のアル・ジャーディンの5人で結成された。西海岸のカルチャー(サーフィン・車・女の子)を、フォー・フレッシュメンやディオン&ザ・ベルモンツのハーモニーとロックン・ロールのサウンドに載せて歌った。

 

デビュー当時はまだ二十歳かそこらだったから、暴力的なウィルソン父がマネージャーをつとめ、バンドを完全な支配下においていた。ツアーが嫌になったブライアンはライブ活動を他のメンバーに任せ、1964年末から作曲とレコーディングに専念することになった。

 

ビートルズラバー・ソウルに衝撃を受けたブライアン(くしくもビートルズのアメリカでの発売元は彼らが所属するキャピトル・レコードだった)は、それを超えるものを作ろうとした。これまでのビーチ・ボーイズとはかけ離れた、そしてロック史上前代未聞の作品『ペット・サウンズ』が完成した。映画でキャロル・ケイが出てきて嬉しかった。

 

レコーディング中、ツアーから帰ってきたメンバーと衝突もした。ペット・サウンズというタイトルは、この路線にいちばん激しく反発したマイク・ラブの「誰がこのクソを聴くんだ?犬の耳か?」”Who's gonna hear this shit? The ears of a dog?”という発言からきている。マイクは今までの「古き良きビーチ・ボーイズ」を貫きたかったが、ブライアンと彼の創造性はもう止められなかった。

 

僕がペット・サウンズでいちばん好きな曲は、「生まれる時代を間違えた」”I Just Wasn’t Made For This Time”だ。CDの邦題は「駄目な僕」かなんかのはず。夏、木じゃなくて家の壁とか電柱にとまっているセミを見ると口ずさみたくなる。1960年代のアメリカ西海岸で20代を過ごしているブライアンがこんなことを歌うものだから余計切なくなる。27:30ぐらいから。

 

The Beach Boys - Pet Sounds

ユニーバーサル・ミュージック・グループのせいで日本からはYouTubeで聴けないみたい。映画で良かったのはこの時期、ブライアンとマイクが『グッド・ヴァイブレーション』を作曲するシーンだった。砂場の上のピアノで。

 

The Beach Boys - Good Vibrations



 

彼らはその後『スマイル』というアルバムに取りかかったのだけれど、ブライアンはドラッグとアルコールに溺れてスタジオでは奇行のオンパレード。消防士の格好をしてスタジオ内で火をたいたりして。

 

それから20年近くの時がたち、ある女性との出会いをきっかけとしてブライアン・ウィルソンは音楽業界に復帰した。

 

ラブ&マーシー

★★★☆☆

 

ビーチ・ボーイズいちの暴れん坊、デニス・ウィルソンのことももっとみんな知ってほしい。ビーチ・ボーイズ史上デニスの死はかなり大きな出来事だったけれど、映画では触れられてなかった。彼らの中でデニスだけが本物のサーファーで、いちばんメチャクチャな人間だった。

 

ボブ・ディラン→『ヘルプ』『ラバー・ソウル』→『ペット・サウンズ』→『リボルバー』『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』という流れは60年代ロック史で大事なところ。テストに出るよ。

 

最後にビーチ・ボーイズで好きな2曲を。

 

 ディオン&ザ・ベルモンツの「星に願いを」を下敷きにした曲。

The Beach Boys - Surfer Girl



Dion And The Belmonts - When You Wish Upon A Star



 

 当時西海岸で流行していたホンダのリトル・カブを歌った曲。

The Beach Boys - Little Honda



 

ペット・サウンズ

ペット・サウンズ