『火花』 又吉直樹

『火花』 又吉直樹

 

そのうち読もうと思っていたら、オカンが文藝春秋を買ってきた。いろいろ言われているけれど、ふだん小説を読まない人に読んでみようと思わせるだけですごい。『スクラップ・アンド・ビルド』と合わせてすぐに読破したらしく、数時間後には貸してくれた。

 

冒頭を少し読んだだけで、この人は本当に明治から戦前の文学が好きなんだなと思った。あえて難しい言葉使ってます感はあるし、一文が長すぎるけれど、リズムが良くて読ませる文章だった。地の文と会話のギャップを狙っているのかもしれない。

 

吉祥寺周辺が舞台で、大阪弁の先輩が物語の中心だということもあって、20代前半を懐かしく思い出しながら読んだ。芸人もバンドマンも同じ種類の人間だ。吉祥寺、井の頭公園、武蔵野八幡宮、ギャンブル、借金、高円寺、下北沢、井の頭線、お化け屋敷(心当たりのある人は全員読むべきだ!)。

 

自分の経験や、舞台を知っているというのが、小説を読む上でどれだけ大きいかがわかった。今ちょうどアーネスト・ヘミングウェイの『日はまた昇る』を読んでいて、パリやスペインの地名がたくさん出てくる。行ったことがない場所は文章だけで想像するしかないが、よく知っている場所は再体験することができるのだ。どっちが良いとか悪いとかではないのだけれど。

 

文章一つ一つはともかく、小説としては結構よくできていた。軽い気持ちで読んでも損はしないと思う。2時間ぐらいで読み終わるし。

 

火花

火花

 

 

今週のお題「読書の夏」