パーシー・スレッジ 男が女を愛する時
パーシー・スレッジが肝臓がんで亡くなりました。74歳。とりあえずこれを再生してください。絶対に聴いたことがあるはずです。
Percy Sledge – When A Man Loves A Woman
彼はアラバマ州の田舎町レイトンの貧しい家庭に生まれ、地元の聖歌隊で歌を学んだ。綿摘みをしたり、デビュー直前は病院で看護士(映画「黄金のマッスル・ショールズ」でも患者に歌ってあげてたと話していました)をしていた。
エスクワイアズというバンドと地元のクラブで活動していた彼を、DJのクイン・アイヴィーが見出した。ある曲を気に入ったアイヴィーは、歌詞を磨くようにと言った。そうして”Why Did You Leave Me Baby(どうして僕をふったの)”というタイトルをひっくり返して、”When A Man Loves A Woman(男が女を愛する時)”は書かれた。
アイヴィーのプロデュースでさっそくこの曲は録音され、1966年4月16日にアトランティック・レコードからリリースされた。ちょうど49年前ですね。ジェリー・ウェクスラーはホーンのピッチが若干ずれているので録り直すように指示したが、行き違いで修正前のバージョンがそのままリリースされた。このシングルは1か月後に全米1位を獲得、アトランティック初のミリオンセラー(しかしスレッジは作曲を手伝ってくれたエスクワイアズの二人にクレジットを譲ってしまっていた)となる。ピッチなんか大した問題ではないんですよ。
この曲はいい意味のラブソングだと思われていて、アメリカでも結婚式でよく使われるみたいです。でも元タイトルのとおり、失恋の曲です。何回聴いてもいい曲。これぞミドル・エイト(Cメロ)だ!素晴らしすぎる。ひさしぶりに訳したくなった。
パーシー・スレッジ – 男が女を愛するとき
男が女を愛するとき 他のことなど考えられない
見つけたもののために 世界さえ売りはらってしまう
悪い女でも 彼にはわからない そんなはずはないと
彼女をけなせば 親友にさえ背を向けてしまう
男が女を愛するとき 一銭残らず使い果たす
必要なものを繋ぎとめておこうとして
快適さも放りだして 雨の中で眠るだろう
彼女が「そういうものなのよ」と言えば
つまり 僕はあの娘を愛してる
すべてを捧げたんだ
君のこの上ない愛を手放したくなくて
お願いだ 冷たくしないでおくれ
男が女を愛するとき 心の奥底から
こんな風にみじめにさせられる
からかわれていても 彼にわかるはずがない
恋する目には見えない
男が女を愛するとき 傷つけはしない
他の女は目に入らない
そう 男が女を愛するときの 気持ちが僕には良くわかる
君は僕のすべてだから
男が女を愛するとき…
Percy Sledge – When A Man Loves A Woman
When a man loves a woman, he can't keep his mind on nothing else
He'll trade the world for the good thing he's found
If she is bad, he can't see it, she can do no wrong
Turn his back on his best friend if he put her down
When a man loves a woman, spend his very last dime
Tryin' to hold on to what he needs
He'd give up all his comforts, sleep out in the rain
If she said that's the way it ought to be
Well, this man loves a woman
I gave you everything I had
Tryin' to hold on to your high class love
Baby, please don't treat me bad
When a man loves a woman, down deep in his soul
She can bring him such misery
If she plays him for a fool, he's the last one to know
Lovin' eyes can't ever see
When a man loves a woman, he can do her no wrong
He can never own some other girl
Yes, when a man loves a woman I know exactly how he feels
'Cause baby, baby, baby, you're my world
When a man loves a woman...
3年後の1969年にリリースされた、ジミー・クリフのメニー・リヴァース・トゥ・クロスは絶対にこの曲を下敷きにしていると思います。オルガンで始まる静かなイントロに入ってくる高音のボーカル。メロディも似ている。レゲエの人たちはR&B大好きですからね。翌年にパーシー・スレッジがカバーしてシングルを出していて(何でそんなことしたんだろう?)、それを聴くともっと似ていて笑ってしまいます。
Jimmy Cliff – Many Rivers to Cross
メニー・リヴァース・トゥ・クロスに、同じくジミー・クリフのストラグリング・マンという曲のメロをのせたのがエリック・クラプトンのワンダフル・トゥナイトです。話がそれてきたのでこのへんで。最後に「男が女を愛する時」の名カバーも貼っておきます。パーシー・スレッジ、安らかに。
Eric Clapton – Wonderful Tonight
Jimmy Cliff – Struggling Man
Karen Dalton – When A Man Loves A Woman