フォックスキャッチャー

フォックスキャッチャー Foxcatcher

 

マークはロサンゼルス・オリンピックのレスリング金メダリストだったが、とても良いとはいえない暮らしを送っていた。大財閥デュポン家の御曹司ジョンに突然呼び出された彼は、破格のオファーを受ける。レスリングチーム「フォックスキャッチャー」を結成し、ソウル・オリンピック優勝を目指すマーク。唯一の身寄りで、同じくロス五輪のレスリング金メダリストで練習相手でもある兄デヴィッドは、妻子のために参加を断っていたが…

 

原作はマーク・シュルツが書いた同タイトルの本で、実話に基づいた映画です。とにかく冒頭のチャニング・テイタムが素晴らしくて、イラつきと焦りが見事に伝わってきました。頼れる人は兄しかいないのに、みんな兄のことばかり。金メダルをとっても自分には何もなく、兄には妻も子もいて幸せそう。そこにひょっこり現れるのがジョン・デュポンで、あとはジェットコースターみたいに過ぎていきました。

 

ジョンは腐るほど金を持っていますが、空っぽな人間です。これまた馬にしか興味がなく空っぽな母親からの愛を感じられず、そうなってしまったように描かれていました。彼の行動はすべて、何とかして母に認められたいという一点につながっています。

 

マリリン・マンソンのメカニカル・アニマルズという曲に「神(god)の”o”と同じくらい空虚」というフレーズがあります。ジョンとマークがコカインを吸いまくるのもマンソンを思い出させた。見ながらずっとその歌詞と、直前に食べたドーナツのことを考えていました。この映画のテーマは「空っぽ」です。Foxの真ん中にも”o”があるしね。

 

ジョンがなぜデイヴを殺してしまったのかも、やっぱりそこなのではないかと。マークからもジョンからも、デイヴだけは満たされているように見えていた。

 

ストーリーもレスリング(ルールも最後までわからないよ!)も地味ですが、ラストシーンまでずっと迫力があります。デヴィッド・ボウイのフェイムと、ウディ・ガスリーのディス・ランド・イズ・ユア・ランド(劇中で流れたのはボブ・ディランがカバーしたやつ)を痛烈な皮肉として使っていたのも良かったです。

 

★★★★☆

 

Marilyn Manson - Mechanical Animals

 

Foxcatcher: A True Story of Murder, Madness and the Quest for Olympic Gold

Foxcatcher: A True Story of Murder, Madness and the Quest for Olympic Gold